令和2年に、このような状況になることを誰が予測できたでしょうか。
それまでは、何の制限もなかった入居されているご利用者様とのご面会。特に週末になると大勢のご家族様の面会が、私が働く介護施設にもありました。
2月に入り日を追う毎に、新型コロナウイルス感染症についての報道が増えました。
その後、病院や介護施設の面会に制限がかかり、やがて、ご面会が一切出来ない状況に陥りました。
あれからはや半年以上になります。
私が働いている介護施設でも、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、段階的にご面会に制限がかかり、3月には一切のご面会が禁止となりました。
そして、今現在も、ご入居頂いているご利用者様とのご面会は制限させて頂いています。
認知症を患うご利用者様については、認知症が進行して、家族のことを覚えていないのではないかと心配されるご家族様も多いことと思います。
ご利用者様と長く面会が出来ずにいるご家族様に向けて、今、施設はどのようなことを行っているのか。
また、現状ご面会を制限させている施設の思いや、ご心配されているご利用者様の様子、更には、ご面会時、留意して頂きたいこと等をお伝えできればと思い、記事にすることに致しました。
- 新型コロナウイルス感染症の現状
- 施設が行う面会制限の詳細
- 国が推奨したオンライン面会の実際
- ご入居中のご利用者様の状況
- 利用者様を守る為に留意すべきこと
等、新型コロナウイルス感染症にまつわる介護施設の面会制限に重きを置いて記事にします。
新型コロナウイルスの捉え方は他人事だった
令和2年9月5日現在、新型コロナウイルス感染者は70.876名、死亡者数は1.349名となっています。一方、世界全体の事例は、26.622.706名、死亡者数は874.7008名と、恐ろしい事態となっています。
2020年(令和2年)1月の新型コロナウイルス関連のニュースは、日本国民の殆どが他人事のような認識だったと思います。
SARSコロナウイルス(2002年)、中東呼吸器症候群・MERSコロナウイルス(2012年)のように、新型コロナウイルス・COVID-19も、「遠く離れた国で流行している感染症」と、私自身もそう認識していました。
WHOは新型コロナウイルスが、人から人へ感染するリスクについて「低い」との見解を示していたこともあり、その後、半年以上新型コロナウイルスと向き合うことになるとは、この時点では、おそらく日本人の殆どが想像していなかったと思います。
風邪でもそうですが、感染したくて風邪をひく人はいませんね。
新型コロナウイルスは、感染を疑う症状が出ない方もいるため、いつ感染してしまうか解らない感染症と認識して、移らない、移さない為の行動を心掛けましょう。
感染してしまうと、特に高齢者様は重症化することがあり、命に関わる新型コロナウイルスに感染しないように今一度、新型コロナウイルスについて確認しましょう。
新型コロナウイルスの正式名称
COVID-19(corona virus disease 2019)「コビッドナインティーン」と読み、「コロナ」「ウイルス」「病気」を英訳した頭文字と、西暦2019年に発生したことから2020年2月に名付けられました。
新型コロナウイルスはいつ、どこで発生したのか
2019年12月以降(12月8日とも聞きますが定かではありません)、中華人民共和国湖北省武漢市で原因不明の肺炎として発表されました。
日本で新型コロナウイルスが報道されたのはいつか
令和1年12月31日13時41分だったそうです。また、日本で初の感染者については、令和2年1月16日、中国の湖北省武漢市に滞在後、日本に帰国した神奈川県在住の30代男性だったそうです。
新型コロナウイルス感染を疑う症状と特徴
新型コロナウイルス感染症を疑う症状については、発熱、咳、痰、咽頭違和感(いがらっぽさ)、咽頭痛、筋肉痛、鼻汁、全身倦怠感、呼吸困難感、息切れ、喘鳴、頭痛、めまい、吐き気等で、初期の症状としては感冒症状にも似ています。
また、このような症状が全くない方で、匂いが分からなくなったり、味覚がなくなる等の臭覚、味覚障害も報告されています。
用語の解説
倦怠感(けんたいかん)心身の疲れによって、だるく感じること。
喘鳴とは(ぜんめい)とは、ぜいぜい、ひゅうひゅうという呼吸音。上気道 に痰等がひっかかったときや気管支喘息の患者等にみられる。
引用:コトバンク
新型コロナウイルスの感染経路は飛沫と接触
「飛沫」と「接触」により感染します
飛沫感染とは、咳やくしゃみ、つばと一緒にウイルスが飛び散り、他者の口や眼、鼻などから吸い込むことで感染すること。
また、接触感染とは、感染者に触れたり、感染者が触れた物を他の人が触れると、その手にはウイルスが付着していますが、その手を眼や鼻や口等の粘膜に触れることで感染することです。
新型コロナウイルス感染症*受診のタイミング
発熱や倦怠感がある方は、先ずは仕事や学校は休みます。自分の為でもあり、他者への感染拡大予防の為でもあります。
特に介護のお仕事をされている方に関しては、出勤はせず現在の症状や状態を、施設や事業所に報告しましょう。
「人手不足で自分が出勤しなければ、同僚に負担を掛けてしまう」「3密は避けている。コロナ感染はないはず」等の理由があっても、出勤してはいけません。
理由は、自分の為でもあり、職員、ご利用者様への感染拡大を阻止する為でもあります。発熱の有無や症状を施設や事業所に報告し、指示を仰いで下さいね。
発熱や倦怠感他、新型コロナウイルス感染症の初期症状が、4日~5日間続いている場合は、帰国者・接触者相談センター等に連絡し相談しましょう。留意点として直接医療機関には行くのではなく、必ず電話連絡の上、受診しましょう。
引用:厚生労働省
新型コロナウイルス感染予防法はありますか
ご存知の通り、予防接種はありません。一般的な咳エチケット、手洗い、うがい、消毒の励行とマスクやシールド、グローブ(病院や施設等で使用しているプラスチック製使い捨て手袋)の使用です。
もしかしたら手にウイルスが付着しているかも知れません。出勤時、食事時、帰宅時の石鹸による手洗いは習慣にしましょう。
手指消毒用のアルコール消毒液は、石けん手洗い後、手を乾燥させてから使用しましょう。濡れた状態での使用は、濃度が薄くなってしまいます。
新型コロナウイルス感染予防として使用する際、アルコール濃度は70~83vol%程度で消毒効果が得られるとされています。それ以上の濃度になると薄めて使用をするようにと厚生労働省からの情報です。
参考:厚労省 http://www.hospital.or.jp/pdf/15_20200410_01.pdf
家族がいる方については、良く触れる部分、ドアノブ、水道蛇口、リモコン等、共有している箇所の消毒をしましょう。
アルコール消毒液の適量
病院や施設、お店の入り口に設置している手指消毒用のアルコールの適量ですが、ワンプッシュを途中で止めないで、しっかりと止まるまでプッシュして下さい。目安でいうと両手がビッショリ(3ml)と濡れる程度が適量です。
東京都知事が繰り返し伝えていた“三密”つまり「密閉」「密集」「密接」を避けることが重要です。可能な限り外出を避け、適宜、室内の換気をしましょう。
買い物など外出時は、他者との距離を2メートル以上空けることを意識して行動しましょう。
新型コロナウイルス感染者が重症化する経緯
PCR検査後、陽性となっても無症状のまま改善することがあります。概ね8割の方は感染しても比較的軽傷のまま回復しています。初期症状が1週間程度で治まれば、そのまま次第に回復に向かうようです。
一方残りの2割の方は、初期症状が5日~7日間持続後、急速に増悪する場合があります。高齢者様や持病がある方は(特に呼吸器系)重症化し致死率が高くなるとされています。
特に、高齢者様、糖尿病、心不全、呼吸器疾患等の基礎疾患がある、 透析を受けている、免疫抑制剤や抗がん剤等を使用いている方については、重症化するリスクが非常に高いので慎重な対応が必要です。
新型コロナウイルス感染症の脅威
新型コロナウイルス感染症は、症状がない人からも感染する可能性があるということが脅威です。もしかしたら、私も貴方も、新型コロナウイルスに感染しているかも知れず、私や貴方に関わった方に移しているかも知れないということです。
新型コロナウイルスに感染者が出た際の濃厚接触者とは
濃厚接触者とは
- 同室者または長時間の接触があった方(目安として1mの距離で15分以上の接触があった方)
- 適切な防護具なしの状態でご利用者様の介護した職員
- 陽性確定者の分泌物、体液などに直接触れた可能性が高い場合
陽性確定者の発症2日前~隔離開始までに接触した人のうち、上記にあたる方が濃厚接触者とされています。
新型コロナウイルス発生後これまでの振り返り
ニュースで新型コロナウイルス感染症に関する話題を、終日テレビやラジオ、SNSで伝えられており、今となってはコロナがなかった世の中が懐かしくも感じています。
新型コロナウイルス感染症が発生してからこれまでを、振り返ってみましょう。
2020年2月には、お店からマスクが消えた
2月にはマスクがお店から消え、そしてアルコール類、トイレットペーパーや箱ティッシュ、生理用品までお店から姿を消しました。
この時期は例年、インフルエンザ感染対策としてマスクの着用はどこの病院や介護施設でも行われています。
お店からマスクが消えてしまい、ドラッグストアには、マスクを求めて開店前から並んでいる姿をニュースで伝えていました。
残りのマスクを数えては不安になり、3月に入ってからはサージカルマスクを洗って使用していた方は、私だけではないと思います。
2020年4月16日、日本全域に緊急事態宣言
令和2年4月7日に7都府県に緊急事態宣言が発動され、4月16日には、その対象が全国に拡大されました。
「不要不急の外出を避ける」「自粛」「ステイホーム」等、外出を控える呼びかけは、一日に何度も耳に入りましたね。
介護施設で働く私は、これまでと変わりなく車通勤をしていましたが、この時期は渋滞がなく、多くの企業で事業の継続や感染予防を目的とした、テレワークを導入していることを実感しました。
渋滞がないのは嬉しいことでしたが、出勤時も、帰宅時も道路は空いていて、閑散とした異様な雰囲気を感じました。例えようのない寂しい気持ちになりました。
2020年5月25日*長かった緊急事態宣言が全国で解除
ようやく少しずつこれまでの生活が戻ると、喜びを感じていました。
しかし、そう簡単に普通の生活に戻ることはありませんでした。東京、大阪、神奈川、愛知、福岡県等、感染者の増加が目立ち、8月に入ってからは全国で毎日1.000人以上の感染者数が報じられました。
逼迫した状況ではないとしても、第2波ともとれる数字となり、4月の緊急事態宣言で多くのお店が閉鎖し国民全体が「ステイホーム」と自粛した一ヶ月半は何か効果が得られたのかと思わずにはいられません。
新型コロナウイルス感染防止を掲げ介護施設が行っていたこと
高齢者様が新型コロナウイルスに感染すると、若い人に比べて重症化するリスクが高いと言われています。2月中旬頃からあちこちの病院が面会中止となりました。
介護施設の面会制限が出た時期と、現在の状況について纏めていますので参考にして下さいね。
介護施設が行う面会制限の内容・詳細
2020年2月の中旬あたりから、各施設で面会制限が開始されています。制限の内容については最初から面会禁止と病院並みの対応を決めた施設や、一日の数時間のみ面会を可能とする面会制限となった施設がありました。
国の緊急事態宣言が解除となった2020年5月25日を過ぎても、引き続き面会制限が一部地域を除き、どこの施設でも継続となっています。
2020年7月より一切の面会禁止から、時間を決めての面会制限に切り替わった施設が増えてきましたが、やはり近隣地域で新型コロナウイルス感染者が発生と同時に面会禁止となる施設があちこちにあります。
早い施設で7月5日から、7月20日頃には再び面会禁止となった施設が多いです。ご存知の通り全国的に、新型コロナウイルス感染者数が増大していることが理由です。
介護施設の面会制限とは実際にどのようなことなのか
病院や、介護施設で行う、面会禁止や面会制限とは、どのようなことなのか。面会が可能であっても、面会の時間や、面会できる人数制限など、ちょっとした不明点を解説します。
一日を通してご入居者様との面会の一切を禁止しているということです。
可能な限り、ご面会希望者全員に対応するため、同じ方が1週間に複数回の面会をご遠慮下さいということです。
面会の為に施設に来られるご家族様の人数を制限させて頂くということです。最大1~2名までとなっている施設が多いです。
施設に面会に来て頂ける時間帯のことです。昼食後の午後13時頃から17時頃までの数時間を面会可能時間としている施設が多いです。
食事の時間は避けて頂きたい為、14時から16時、13時から15時の2時間、長くても3時間程度を面会可能時間と規定している施設が多いです。
最長10分としている施設、15分としている施設が多く30分としている施設も僅かながらありました。理由としては、対応する職員の配置、入居者様のご負担軽減と感染予防です。
介護施設の面会制限:面会出来る年齢を制限をする理由
6~8歳以下は不可という施設、高校生までを不可とする施設や病院があります。
病院や施設によって年齢制限は様々で、12歳以下、15歳以下、18歳以下としている理由として、学校で集団感染しやすい、水ぼうそう、はしかや風邪、インフルエンザ等に感染している可能性があることがひとつ目の理由です。
また、高齢者も学校に通う子供にとっても、ウイルスに対する体力や抵抗力が不十分である為、感染しやすいとして、ご面会に年齢制限をするもうひとつの理由です。
私が働く介護施設でも、孫やひ孫を連れて面会に行きたいと問い合わせがあります。
おっしゃるお言葉は勿論、理解できますが、上記説明をさせて頂く以外は、ご不便をお掛けしていますとしか現状お伝えできないのが実情です。
介護施設の面会制限:面会場所に制限がある
面会制限中は、ご利用者様の居室への入室、各階フロアでの面会は、ご遠慮頂いている施設が多いです。
面談室や会議室、相談室、ロビー等、ご面会用の部屋を設け、徹底した換気と消毒を行っています。
また、面会者とご利用者様との面会を果たすまでに、玄関先では、面会者の発熱の有無を確認、石けんを使用した手洗い、うがい、アルコール消毒を行い、マスクを着用頂いた上で、ようやくご面会となります。
10分、15分のご面会の為に数時間掛けてご来設も
面会制限が出るまでは、毎日ご利用者様の面会に来られていたご家族様にとって、この面会制限は耐えがたい規定だと申し訳ない気持ちもあります。
入居いただいているご利用者様との面会を果たすために、2時間掛けてご来設頂き、ご家族様もご利用者様もマスクを装着しての10分、15分のご面会。
中には、ご利用者様にとって、ご家族様と認識できないこともあります。
介護施設が面会制限をしなければいけない理由
厚生労働省より社会福祉施設等に対して、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から特別な場合を除き、面会を制限するよう通達、要請がでていることと、高齢者様は特に重症化しやすいとされていることが理由です。
重症化しやすいご利用者様に移してしまってからでは遅いです。
厚生労働省 事務連絡
- 高齢者施設における新型コロナウイルス感染症発生に備えた対応等について
- 都道府県における取組について(山梨県/富山県/兵庫県)
- 社会福祉施設等の介護職員等の確保支援
- 新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金(介護分)
- 新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金(医療分)
- クラスター発生時の看護職員の派遣の仕組み
厚生労働省 各課からの事務連絡 上記内容が新規で開きます(pdfファイル)
新型コロナウイルスからご利用者様をお守りするためには、どうしたら良いのかの答えのひとつが面会制限です。
既に高齢者介護施設に新型コロナウイルスが発生し、多くのご利用者様が感染し、実際に亡くなられた方もいらっしゃいます。
介護施設に出入りをする人は、施設職員、面会者様、出入り業者と限られています。利用者様に感染することがありませんように、最大限の感染対策を行っています。
「大丈夫でしょう」ではなく、「最悪の事態が起こるリスクは高い」と考えるべきです。
リスクマネジメントは新型コロナウイルス感染対策でも、常に必要です。
新型コロナウイルス感染拡大防止対策として施設が行っていること
- 職員の出勤前検温(自宅で検温)を実施し、出勤時、名簿に測定してきた体温を記録
- 体温が37.0℃以上ある場合は、出勤せず施設に連絡するようになっています
- 施設職員の同居家族(同居人)の体温が37.0℃を超えている場合は出勤せず、施設に連絡し指示を仰ぎます
- 職員、同居家族(同居人)が感染を疑う症状がある場合は出勤せず、施設に連絡します
- 三密(密閉・密集・密接)を避け、可能な限り外出を避けるように指導を受けています
- 出勤時、食前・食後、帰宅時はもとより、1ケア毎の手洗いを徹底しています
- 日勤帯、夜勤帯で食事席テーブル、椅子のアルコール消毒を行っています
- 全職員は、石けんによる手洗い、うがい、手指のアルコール消毒を行っています
- ご来設者様(業者含)に、手洗い、うがい、手指消毒、マスクの着用をお願いしています
- ご利用者様が37.0℃以上の発熱他、咳、鼻汁、痰の増加がある際は、居室対応としています
- 適度な運動、食事、良質な睡眠がとれているかを観察し、状態を担当医に報告します
※感染を疑う症状がでた場合は、自宅から職場へ連絡しましょう
面会禁止となり介護施設では消毒を徹底して行っている
施設内、施設周辺を含め、職員、ご利用者様が触れる場所、物のありとあらゆる場所を消毒することを徹底してます。
要は、職員やご利用者様が触れる部分を消毒するということです。
施設内ご利用者様スペース
施設内手すり、床、エレベーター・テンキー、更衣室ロッカー扉、居室ドアノブ、照明スイッチ、トイレ便座・水洗レバー・洗面所蛇口・バー、車椅子ハンドグリップ・ストッパー、テーブル、椅子、テレビ・エアコン等リモコン、PHS、パソコン、ipad、共用筆記具、
施設事務所内
パソコンマウス・キーボード、入り口テンキー、窓の鍵部、証明スイッチ、机、机引き出し、椅子、面会簿記載用ペン、電話、PHS、コピー機タッチ部分、中庭へ通じる窓(開閉で触れる部分)
消毒に関する情報は以下の厚生労働省・経済産業省・消費者庁が、新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について、特設ページを設けていますので確認して下さい。
消毒と除菌について、消毒・除菌方法、手指のウイルス対策、「次亜塩素酸ナトリウム」と「次亜塩素酸水」の違いについて、空気中のウイルス対策について等、かなり詳しく伝えています。
介護施設で面会制限:オンライン面会を国は推奨
「高齢者施設等におけるオンラインでの面会の実施について」
利用者の方とそのご家族等との間で、ご家庭に いながらオンライン面会(テレビ電話システムや Web アプリのビデオ通話機能 等のインターネットを利用する面会)を行っていただくことが望ましいです。
引用:厚生労働省老健局総務課
新型コロナオウルス感染拡大防止の観点から、ご面会に制限があり、ご利用者様に会えずにいるご家族様を対象にしたオンライン面会についてです。
介護施設等において、テレビ電話システムやアプリを利用して、ビデオ通信機器等のインターネットを利用しての面会を各都道府県も促進しています。
ビデオ通話が出来る通信アプリ
Skype https://skype.softonic.jp/
LINE https://line.softonic.jp/
Zoom https://zoom.us/
※全て無料で使えます(Zoomは有料版あり)
「一体いつまで会えない日が続くのだろう」「父は(母は)私達家族のことを忘れてしまっているのではないか」「ちゃんと食べているのだろうか」「寂しい思いをしているのではないか」等、不安や心配は耐えないことと思います。
せめて利用者様の映像を見ることで、元気に過ごされていることが確認できれば、多少の安堵は得られるのではないでしょうか。
オンライン面会で使用するタブレット等の購入について
介護施設・介護事業所を対象にした、地域医療介護総合確保基金の ICT 導入支援事業では、購入したタブレット等を、オンライン面会に利用しても良いとしています。
また、タブレット等を持っていない家族様に利用して頂くことを可能としています。
介護施設で行うオンライン面会に必要な環境整備
実際にオンライン面談を行う際は、ご家族様はご自宅から、又は施設に出向き決められた場所で実施することになります。
ご利用者様はといいますと、こちらも決められたスペースで、職員と一緒に、又は会話が出来る環境を確認するまで職員が対応する等、ご利用者様のおかれている状況によって対応方法が変わります。
置かれている状況についてですが、具体的には、ご家族様の顔が認識出来て、オンライン面会が理解出来るご利用者様については、ご利用者様とご家族様の会話が成立するまで、ご利用者様に施設職員が付き添い説明します。
会話がはじまったことを確認後は、制限時間が来るまで職員は席を離れます。
一方、認知症があり、ご家族の顔は認識出来ても、オンライン面会の理解が難しい利用者様やご家族の顔が解らないご利用者様については、終始職員が付き添います。
ご利用者様とご家族様の会話を、職員が繋ぐ形でオンライン面会を行います。
施設で行うオンライン面会
新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、介護施設では面会制限があります。
施設に入居されているご利用者様に会えずにいるご家族様や、息子様・娘様に会えないでいるご利用者様に向けて、せめて画面越しではあっても『顔を見ることで得られる安心を』とオンライン面会を実施している施設は多いです。
通信アプリを利用してのオンライン面会に関する操作については、そこまで難しい設定はありませんので、対応出来るご利用者様もいらっしゃいます。
私が働いている施設では、ご家族様に施設にお越し頂き、面談室で施設が準備したパソコンを使用して、各フロアにいるご利用者様とオンライン面会を実施しています。
やはり、ご家族様やご利用者様が笑顔で話す様子を見ると私も嬉しいです。
介護施設で行うオンライン面会は誰のために行うのか
私が働く施設では、誰のためにオンライン面会を行うのかと問われた場合、「ご利用者様に会えないご家族様の為にオンライン面会を実施する」が答えです。
勿論、オンライン面会を楽しみにされているご利用者様もいらっしゃいますが、その数は僅かとなっています。
ご利用者様は加齢に伴う視力の低下があり、白内障や緑内障、加齢制黄斑変性症等を患っている方は少なくありません。
いろいろと試してみましたが、モニターの大きさについては、小さ過ぎず、大き過ぎずをお勧めします。施設ではパソコン(17.3インチ)を使用して実施しています。
パソコンの画面にご家族様が映ったとしても、残念ですが理解が難しい場合もあります。どれだけ説明しても、画面の中にいらっしゃるご家族様を「息子様ですよ」「娘様ですよ」「太郎様ですよ」「花子様ですよ」とお伝えしても、伝わらない、信じない方もいらっしゃいます。
「お母さんの娘の花子です」「お父さん!息子です。」など繰り返すだけで時間が来てしまうこともあります。
オンライン面会の必要性について考えてしまうことがあります。
1日にどれくらいのオンライン面会が出来るのか
国が推奨していることで実施している施設は多いですが、対応可能な一日あたりの件数は多くはありません。
オンライン面会を実施するために確保する場所の問題、対応する職員の問題から、殆どの施設では完全予約制となっています。
私が知る限りのお話しではございますが、1日10分~15分程度の面会制限中の施設であれば多くて10件、更にオンライン面会については1日に5件の対応が限度です。
施設利用者様と家族が行うオンライン面会の注意点
直接、ご利用者様とご家族様が会わなくても、新型コロナウイルス感染防止の為、使用するタブレットやパソコンの消毒は必須です。
テーブルや椅子他、照明スイッチ、ドアノブ、とっ手等、人が触れる場所は全て消毒を行ってから次の方をお迎えします。
また、面会制限中の介護施設で、オンライン面会を行った場合、その週はご利用者様との面会は行えなくなっているところが多いので、各施設に確認して下さいね。
実際にご利用者様に会って、面会をお勧めするご家族様は、車や自転車、徒歩で施設に出向ける方です。
一方、電車やバス等の公共交通機関を利用しなければ施設に出向けない方の場合、オンライン面会をお勧めします。
新型コロナウイルス感染症関連の最近の情報では、感染経路が不明な感染者が非常に多くなっています。
そのため、もっと頻度を上げてオンライン面会をと思いますが、ご存知の通り、どこの介護施設も職員は有り余っているわけではなく、新型コロナウイルス感染予防のための消毒だけでも大変な作業です。
どうかご理解頂けますと幸いです。
施設から電話でご家族様とお話して頂く
老人性難聴を患う方も多いですが、耳がそこまで遠くないご利用者様で、お話しが出来る方には、施設から電話でご家族様とお話して頂いています。
職員が少しの支援をすることで、電話でもご家族様との良好なコミュニケーションはとれます。
オンライン面会のようなシステムの理解が難しい方でも、電話は昔からあり、ご自身も長く使われていたこともあり、聞こえてくる声の先には人がいるということを認識出来る方が多いです。
声の相手は「息子様ですよ」「娘様ですよと」お伝えするだけで笑顔が見られます。
介護施設にご面会時、注意していただきたいこと
東京都では300人超えですとか400人超えの新型コロナウイルス感染者数があったこともあり、100人と聞くと少ないように感じたり、受け取り方が麻痺してしまいつつあります。
先日、ご面会の際、ちょっと目を離している際に、ご利用者様が装着していたマスクがないことに気付きました。
「気を付けていますから大丈夫ですよ」とご家族様より言われましたが、感染予防に関する説明をさせて頂きました。
マスクがあるとやはり鬱陶しく、話しもし辛く聞こえ辛く、私も朝礼などで話をする際、つい外したくなります。
ご家族様がご利用者様のマスクを外して差し上げるお気持ちは勿論解るのですが、ご家族様とそのご利用者様だけでなく、お一人の感染から多くの利用者様や施設職員が感染してしまうリスクがあります。
ご家族様に、ここまでご不便をお掛けして、また、施設職員も感染対策を続けてきたことが、無駄になります。
たったお一人の行動から感染することで、あっという間に拡大します。
ご面会時のご家族様、ご利用者様は共にマスクを装着してのご面会ということになります。ご面倒だと思いますが宜しくお願い致します。
面会制限がありご家族様に会えないでいるご家族様へ
毎日、ご家族様のご面会を果たされていらした方については、突然、会えなくなったことで不安な様子のご利用者様も正直なところいらっしゃいます。
「息子(娘)から連絡はありませんか」と聞かれることが一番多いです。
また、会えなくなった理由をお伝えしても、その時は解って頂けても、直ぐに忘れてしまい理解が出来ないご利用者は「まったく…、誰も会いに来なくなった」と話される方もいらっしゃいます。
外出が大好きだったご利用者様については、「コロナコロナっていつまでですか!」とぶつけて来られるご利用者様もいらっしゃいます。
ご面会に制限があるだけではなく、これまで施設で行っていた外出に関する行事やレクリエーションが全般(買い物レクリエーション、外食レクリエーション、お花見、花火大会等)に中止になっていますので、楽しみにされていたご利用者様にとってはストレスになっています。
外出のみならず、施設に訪問して、歌唱や踊り、演奏を披露して下さっていたボランティア団体様の来設も滞ったままです。
新型コロナウイルス感染症は、ご利用者様やご家族様から多くの楽しみを奪ってしまいました。
家族の面会がなくなったご利用者様に出来ること
レクリエーションの時間に、ご利用者様と「マスクを作る」時間を作りました。出来上がったマスクはご自身で使われる方もいらっしゃいましたが、家族に送りたいと話される方も多いです。
何かを手に入れると真っ先に家族に送りたいと話されるご利用者様は、おそらくひとときもご家族様のことを忘れることはないのでしょうね。
家族に送りたいと話された方に、季節の絵手紙を同じようにレクリエーションで作成して頂き、マスクと一緒にご家族様にお送りしました。
また、来設をご遠慮頂いている楽器演奏や歌唱、踊りを披露頂いていたボランティア団体様に代わって施設職員がイベントを開催して、少しでもご利用者様のストレス軽減を図っています。
また、外食レクは出来ませんが、お店からメニューを頂いてご利用者様が食べたいものを、出前を利用して施設内で召し上がって頂く「出前イベント」も大変喜ばれていました。
私が働いている介護施設では7月を目途に、少しずつではありますが、面会禁止から面会制限に切り替え対応しています。
8月中旬頃より、これまで滞っていた訪問理美容業者様も、一度にヘアカットが出来る人数を制限して再開しています。
一日も早い、自体の収束を願っていますが、状況を見ていると簡単には終わらないように感じています。
2月からこれまで、私が働いている施設では新型コロナウイルスのみならず、インフルエンザ、ノロウイルスに関して、一件も発生していません。
とは言え、日々、「もし自分が感染してしまったら」の不安は頭のどこかにあり、そのせいか施設が災害に遭う夢を見ました。(お陰様で災害はありません)
施設職員様、訪問介護事業所様、在宅介護を行っているご家族様他、私と同じように高齢者介護に携わっている全ての方々にエールを送ります。
今年は、毎年恒例のお花見外出レクリエーションが出来ませんでした。来年の春こそ、ご入居頂いているご利用者様とお花見を実現したいと願っています。
この記事の最後に、ご利用者様のご家族より頂いたメッセージです。施設へ心温まるお手紙を送って下さるご家族様も…。
ご家族様の声
- 「(東京在住)暫く施設に行きませんので、母をお願いします」
- 「これを使って下さい」とマスクを送って下さる方も
- 「写真を送って下さってありがとうございます」
- 「笑顔の父の表情を見て安心しました。お礼申し上げます」
- 「大変な時期、職員さんには感謝の気持ちでいっぱいです」
自分が感染しているかも知れないと、会いたい家族に会うことを自ら断念されるご家族様もいらっしゃいます。ご不便をお掛けしています。
最後までお読み頂きまして、誠にありがとうございました。