施設の介護

介護施設で発生するインフルエンザ

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りょうこ新人職員
りょうこ新人職員
私が働いている施設に、感染症対策委員会が設置されていますけど、高齢者施設で注意しなければいけない感染症って、例えばどんなものがあるんですか? 
たろう先輩職員
たろう先輩職員
施設で集団感染になる可能性が高いインフルエンザ、感染性胃腸炎(ノロウイルスやロタウイルス)腸管出血性大腸菌感染症、他には疥癬(かいせん)や結核にも注意が必要ですね。

施設のお客様だけでなく、働く職員や面会者様等、外部から持ち込まれてしまうことも多く、私たち職員が媒介者となってしまうことも少なくないんだよ。

めぐろ
めぐろ
令和2年に入って、新型コロナウイルスが世界中に猛威を振るっていますね。

病院だけではなく、介護施設でも面会に制限時間を設けていたり面会禁止となっている施設も多いです。

ご家族様の面会を楽しみにされているご利用者様の中には、なぜ急に家族が会いに来てくれなくなったのかが理解できない方も多く、一日も早い事態の収束を祈るばかりです。

ナースえみこ
ナースえみこ
新型コロナウイルスとインフルエンザは別物ですが、感染対策については類似している部分も多いです。

インフルエンザは毎年10月頃から始まり、3月頃まで対策が必要な感染症です。

めぐろ
めぐろ
施設に入居されている元気な高齢者様には殆ど見られませんが、集団感染に移行する可能性があるとされる、抵抗力が弱い方や、術後の入院患者さん等に感染するリスクが高く注意が必要な感染症として、MRSAや緑膿菌感染症があります。

他には、集団感染することは少ないとされていますが、血液や体液を介して感染する肝炎(B、C)やHIV感染症などが高齢者に多い感染症とされています。

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参考:高齢者介護施設における感染対策マニュアル改訂版(2019年3月))」(厚生労働省)

インフルエンザから施設利用者を守る為に

インフルエンザは、人から人にうつるインフルエンザウイルスに感染することで発症します。

感染の経路は「飛沫感染」と「接触感染」とされ、感染した人が放出する、咳やくしゃみ、会話によるつばによって飛び散ったウイルスを、他者の口や鼻から吸い込んだり、感染者が触れたドアノブ、リモコン、照明のスイッチ等を、他者の手指で触れ、その手で鼻や口の粘膜に触れることで感染します。

インフルエンザには型がある

インフルエンザにはA、B、C、D型と型がありますが、特に感染力が強い、A型、B型が多く一般的です。またD型はヒトには感染しません。

潜伏してから発症まで1日~3日あるために、早期に病院受診、検査を受けても陽性反応がでないこともあり、知らない間に他者にうつしてしまうこともあります。

またA型が全体の7割とされており、B、C型は高齢者より子供が感染しやすいとされています。

インフルエンザの症状

震える程の悪寒、38℃以上の発熱、筋肉、関節の痛み、頭痛、全身の倦怠感(だるさ)、食欲減退が現れ、その後、鼻汁、のどの痛み、咳による上気道炎症状となり、おおむね一週間程度で快方に向かいます。

インフルエンザの予防法

予防注射 手洗い
アルコール消毒 マスクの装着
  • 11月~12月にインフルエンザ予防接種を受けましょう
  • 石鹸による手洗いを励行しましょう
  • 手洗い後のアルコール消毒
  • マスクを装着して感染予防しましょう
  • うがいも必ず行いましょう

換気と湿度調整

お部屋の窓を定期的に開け、換気をしましょう。また、空気が乾燥すると、のどの粘膜の防御作用が働きにくくなります。

冬場は空気が乾燥し20%台となってしまうこともあり、インフルエンザにかかりやすくなります。加湿器を利用したり、ゆるく絞ったタオルをお部屋に掛けたり、洗面台に水を溜めたり、室内は50%~60%の加湿に努めましょう。

介護施設では常に室温は一定の温度に保たれていますが、湿度調整についての観察は十分とは言えません。時間を決めて湿度計を確認しましょう。

インフルエンザ予防/食事と休養

栄養バランスの良い食事を3食きちんととり、たっぷりと睡眠をとり、身体に高い抵抗力をつけましょう。

インフルエンザに感染したら

インフルエンザにかかってしまったのかも…と思う症状が現れたら、病院受診をしてインフルエンザに感染していないか検査を受けましょう。

  • 介護施設の場合は、担当の往診医にまずは報告し、指示を仰ぎましょう。(主に看護師が行います)
  • 外来受診が決まったら、受診先の病院に、状態を伝え受け入れ可能の有無、病院からの指示を確認しましょう。病院で長時間の待ち時間は状態が悪いお客様には相当な負担になります。可能な限り、待ち時間が少なくなるよう相談しましょう。(生活相談員、ケアマネジャー、看護師が行います)
  • もしかしたらインフルエンザ陽性の可能性があります。受診の際は、マスクを装着して他者にうつさないように気をつけましょう。
インフルエンザ陽性
  • お食事他、生活は居室内(個室)となります。発熱他、体調が良くない状態であるため、コールの位置をお客様に確認して頂き、何かあったら遠慮なくコールで職員をお呼び下さるよう都度説明しましょう。(インフルエンザ陽性反応前に、発熱がある場合は速やかに居室対応とし、感染を拡大しないように留意しましょう。)
  • ゆっくり休息し安静にしましょう。
  • 経口補水液やスポーツ飲料他、お茶等、水分は普段より多めに摂りましょう
  • 3日以上熱が続いてしまう場合、肺炎や気管支炎を併発し重篤となるケースもあります。放置せず、きちんと経過を観察しかかりつけの医師に相談しましょう。(看護師が往診医に経過を報告し指示を仰ぐ。一方、お客様と一番近い位置で関わっている介護職員は、看護師に状態の報告を。)
  • 検査が陽性となったら職場は必ず休みましょう。「休むわけにはいかないから」等の考えはよくありません。最低でも熱が下がってから2日間(咳が消失するまで)は他者にうつす可能性があります。介護のお仕事をされている方は職場から出勤して良いと言われるまで出勤してはいけません。(職員)

インフルエンザ予防/介護職員が留意すべきこと

介護施設でご利用者様がインフルエンザに感染してしまうと、他のお客様への感染予防が必要なため、お食事は居室で召し上がっていただくことになります。

症状が改善してくると、認知症を患い、見守りが必要な方等にとっては、なぜ、お部屋から出てはいけないのか理解できず、不穏に陥ることもあるため、転倒などの事故に繋がるリスクが高くなります

普段よりお声かけを多く持ち、ご利用者様のストレス軽減も図りましょう。

介護施設に入居されているご利用者様にとって、インフルエンザ他、普通感冒(風邪)で体調を崩すことで、もともと持っている病気が増悪することがあり、命に係わるほどの重症化に至ることがあります。

また、インフルエンザに見られる高熱となる症状が全くなく自覚症状もないご利用者様が、肺炎を併発していることもあります

更に、「痛い、苦しい」を発することができないご利用者様もいらっしゃいます。そこで大切なことは、普段の様子を良く観察し、ご利用者様の異変を早期に発見することです

食事の摂取量が少ない、何だかいつもに比べて目に力がない、ご機嫌が悪い等、異変のサインを見逃さない気づきが大切です。

介護施設で発生するインフルエンザの留意点・まとめ

介護施設では、感染対策委員会などの名称で、感染予防と感染が発生した際、拡大を防止する為の委員会が設置されており、年に2回以上の定期的な研修が義務づけられています。また、新規採用職員にも入職後の早い段階で感染予防対策についての研修を必ず実施しています。

インフルエンザなどの感染症が発生しやすい時期や初期症状等お伝えしてきましたが、高齢者の場合は、主とされる症状がなかったり、微熱程度でも陽性反応がでることもあるということを理解して下さい。(これは感染症に限らずですが、例えば骨折していても痛みの訴えがない場合があります。)早い段階での職員の気付きが、感染拡大を防ぐことに繋がります。

また、お客様がインフルエンザにかかった場合、感染拡大を防ぐために、お食事は居室で行い、他者との交流は遮断することになります。

認知症を患っている方など、見守りが必要なお客様が居室で過ごすことで、普段に比べるとお客様への目が届きにくい状況になります。こまめな巡視を行い、転倒等による事故防止に努めましょう。

介護施設で発生しやすい感染症についてはインフルエンザ以外にもありますので、また別の記事にしてお伝えします。最後まで読んで下さってありがとうございました。

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